2012年5月3日木曜日

家庭用の太陽光発電システム

地球温暖化対策が求められる中、発電時に温室効果ガスを出さない水力発電を再評価する動きが出てきた。

関西電力は黒部川水系の発電所の能力を高めるため追加投資する計画で、新タイプの小型発電設備も注目されている。

富山、長野の県境に近い関電の黒部川第四発電所。高さ186メートルの巨大な「黒四ダム」で有名な同発電所は1961年に稼働し、日本の高度成長を支えた。

発電力は最大33万5000キロ・ワット。最新の原子力発電所の4分の1以下だが、最近は「地球に優しい水力発電」の象徴として再評価されている。

関電は今秋から、「黒四ダム」の下流に位置する新黒部川第二発電所の発電効率を高めるため、放水路の付け替え工事を開始する。工事が完成する2012年には年間の発電量が6500万キロ・ワット時増える見通しだ。

水力発電は、60年代前半まで国内電力供給の50%以上を占めていたが、火力、原子力発電の普及で割合は約10%に低下した。しかし、地球温暖化対策が急がれる中、多雨で急流の多い日本に適したクリーンな電源として見直されつつある。

資源エネルギー庁によると、国内の水力発電の潜在力は1200万キロ・ワット以上(08年3月時点)あり、一般的な原発10基分に相当する。

ただ、大規模発電所の新設は環境保護やコストの面から難しく、注目されているのが上下水道などを利用する「マイクロ水力」(小規模水力発電)だ。

主に既存の水道にパイプを追加して発電機に水を導く仕組みで、04年度以降、関東地方では約40地点に設置されている。

魅力はコストの安さだ。マイクロ水力設備大手で東京電力の子会社「東京発電」によると、設備の設置コストは出力1キロ・ワットあたり30万~50万円と、家庭用の太陽光発電システムより20万~40万円安い。

エネ庁は全国400地点以上に小規模発電所を設置できると見ており、今後さらに普及する可能性がある。