2012年6月7日木曜日

次世代のエコ住宅市場の開拓

「家庭から出る二酸化炭素(CO2)をゼロにする暮らしの実現のため、家まるごとで何ができるかを提案したい」。パナソニックの大坪文雄社長は15日、東京都江東区に作った「エコアイディアハウス」の披露式典でこう述べ、次世代のエコ住宅市場の開拓に強い意欲を示した。

エコハウスは家庭から排出されるCO2など温室効果ガスの大幅な削減を目指す住宅型ショールーム。屋根に設置した太陽電池パネルで発電するほか、水素と酸素を反応させて発電する燃料電池も装備。悪天候が続く場合、燃料電池による電力供給に切り替える仕組みにした。余った電気は、リチウムイオン蓄電池にためておく。

また、台所や居間、ダイニングなどの照明には通常の白熱電球に比べ消費電力が6分の1で済むLED(発光ダイオード)照明を採用。さらに、▽外気を最大限利用する自然換気システム▽暑さや寒さを遮断する真空断熱材▽空気中に分散する熱を集めて活用するヒートポンプなど、最新の省エネ技術を詰め込み、消費電力の節約を徹底した。

太陽光発電を設置するだけでも平均的な戸建て住宅で約350万円かかるほか、リチウムイオン蓄電池も価格は数百万円もするなど、普及へのハードルは高い。しかし、大坪社長は「実現性ある提案」と強調。最新のエコ家電・システムを家ごと売り込みたい考えだ。同ハウスは、18日から土日祝日(月曜日は除く)に一般公開される。

大手住宅メーカー、積水化学工業が太陽光発電や高気密・高断熱の省エネ設計を売り物にした「光熱費ゼロ住宅」などを販売。新日本石油も今年3月、液化石油ガス(LPG)で発電し、余熱で湯を沸かす住宅用総合エネルギーシステムを組み込んだモデルハウスを横浜市にオープンした。10年度から販売を始める。