この扱いは、パソコン利用の実態と著しく乖離している。パソコンとその周辺機器の技術進歩は非常に急速なため、一年もすれば状況は一変してしまう。最新技術の恩恵を享受するには、毎年買い替えてゆく必要がある。作業能率があがることを考えれば、それでも無駄な投資とはいえない。かなり我慢して使うとしても、せいぜい二年間が限度であろう。パソコンとその周辺機器は、いまや事実上消耗品となっているのである。
パソコンの減価償却期間が六年間とされているのは、物理的な耐用年数を考慮してのことであろう。確かに、パソコンのハードウェアそのものは、六年間はもつ(多分もっともっだろう)。しかし、本来考慮すべきものは、経済的あるいは技術的な耐用年数である。新しいものが性能が良いというだけではない。古いマシンでは、最新のソフトウェアを用いることができない。インターネットへの接続も難しい。また、他人が作ったデータなどを利用したり、自分が作ったデータを他人に送るにも困難がともなう。
パソコン関連の技術は、「ドックイヤー」で進歩する。この基準で考えると、日本の税制は、パソコンについて四二年間の償却を強制していることになる。あるいは、逆に考えれば、通常の機器で六年償却が適切なら、パソコンはその七分の一つまり全額を初年度で償却してよいことになる。これは「パソコンか消耗品だ」という感覚と一致する。
通常、税制で「特別措置」といわれるのは、何らかの政策目的のために、本来あるべき税負担を軽減する措置をさす。たとえば、特別償却といわれる措置は、本来の耐用年数よりも減価償却期間を短縮する措置である。しかし、パソコンの場合には、実態に比べて減価償却期間が長くなっているため、税負担が本来あるべき水準より過大になっているのである。
実は、このような税制上のバイアスは、パソコンとその周辺機器に関して存在するだげではない。ソフトウェアの開発に関しても同様の問題がある。どれらに要した費用は、繰り延べ資産として一定期間にわたって償却することを求められる。しかし、これらの経済的寿命は、パソコンのハードウェアよりも短い場合が多いのである。
2015年8月21日金曜日
2015年7月17日金曜日
企業経営の成果を示す重要指標
これから本邦金融機関が健全な金融仲介機能を取り戻すためには、大規模な業務の再構築、合併や統合、提携は不可避であろう。グローバルに加速する金融再編の流れをさえぎるような保護的規制はもはやない。強力な外資は続々と本邦市場へ参入してきた。そうした外資に本邦の金融機関は、どのような戦略で対応しようとしているのだろうか。
金融再編のプロセスは、他のどの産業分野の国際的再編にもまして異文化の衝突を孕んで進行することが多いという点を考えてみたい。端的に言って、日本的経営文化と米国式経営文化の衝突である。冒頭に紹介した個人的な経験の一端は、株主から委ねられた資本の効率的運用のために、収益率の低い業務は容赦なくつぶし、不要な人員は抱えない米系金融機関の企業文化を象徴するささやかなエピソードでもある。
このような現象は、これから日本でも日常化してゆくだろう。結果の平等に偏ってきた日本的経営文化が、企業の活性化に貢献する社員へのインセンティブを、よい方向にも、そしておそらくは好ましくない方向にも、強化すべく修正されることは避けがたいようである。
また、米国などでもっとも一般的な企業経営の成果を示す指標としてROE(株主資本利益率)があるが、これは自己資本利益率ともいい、税引き利益を自己資本で除した数値で、株主の持ち分に対する収益力をあらわす。日本においても、これからの老齢化社会では、否応なく利子や配当など資産所得に依存する部分が大きくなる。
企業の発行する株式や債券など、資産の投資利回りが低ければ立ちゆかない社会である。その意味からもROEや資本コストを意識した米国式経営文化が強まるのは避けがたい。こうした要因も、日本的経営文化を、根底からゆさぶり、給与体系や雇用制度を変えてゆくだろうが、それがひきおこす社会的混乱を緩和するセーフティーネットは十分だろうか。
金融再編のプロセスは、他のどの産業分野の国際的再編にもまして異文化の衝突を孕んで進行することが多いという点を考えてみたい。端的に言って、日本的経営文化と米国式経営文化の衝突である。冒頭に紹介した個人的な経験の一端は、株主から委ねられた資本の効率的運用のために、収益率の低い業務は容赦なくつぶし、不要な人員は抱えない米系金融機関の企業文化を象徴するささやかなエピソードでもある。
このような現象は、これから日本でも日常化してゆくだろう。結果の平等に偏ってきた日本的経営文化が、企業の活性化に貢献する社員へのインセンティブを、よい方向にも、そしておそらくは好ましくない方向にも、強化すべく修正されることは避けがたいようである。
また、米国などでもっとも一般的な企業経営の成果を示す指標としてROE(株主資本利益率)があるが、これは自己資本利益率ともいい、税引き利益を自己資本で除した数値で、株主の持ち分に対する収益力をあらわす。日本においても、これからの老齢化社会では、否応なく利子や配当など資産所得に依存する部分が大きくなる。
企業の発行する株式や債券など、資産の投資利回りが低ければ立ちゆかない社会である。その意味からもROEや資本コストを意識した米国式経営文化が強まるのは避けがたい。こうした要因も、日本的経営文化を、根底からゆさぶり、給与体系や雇用制度を変えてゆくだろうが、それがひきおこす社会的混乱を緩和するセーフティーネットは十分だろうか。
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