2012年4月12日木曜日

格付け会社が信頼できないという問題

格付け会社が信頼できないという問題は、根本的にはまだ解決していない。債券の格付けは信頼できるかと聞かれたら、筆者は「ノー」と答える。格付け会社と同様の問題は、個人を巡るお金の世界にもある。

金融機関のセールスマン、あるいはファイナンシャル・プランナー(FP)は、良くない商品や運用計画を推奨すると評判が損なわれて損をするはずだが、商品販売の手数料が入ったり、商品の供給者とのビジネス関係を通じて報酬を得たりする場合に、ダメな商品でも顧客に勧めようとする動機を持つことがある。

独立系に見えるFPの場合も、証券会社と証券仲介業の契約を結んで手数料が入るようになっていたり(通常は半分程度)、金融機関の宣伝への協力やセミナー講師で収入を得ていたりする場合がある。

こうした人の場合、「こんな人の場合は、こんな商品に投資してみる手もある(だろう)」というような曖昧な言い方で、明らかに投資家に不向きな商品を勧めることがある。雑誌や新聞などを見ていると、金融商品の広告や広報にFPが登場するケースの少なからぬ場合がこれだ。

もっとも、FPは、そもそも厳密にどの商品がいいのかについて、比較する基準を正確に知らない場合が多い。格付け会社、セールスマン、FP。いずれと付き合う場合も、こちら側が知識と判断力を持つことと同時に、相手のビジネス上の利害関係に注意を払うことが必要だ。